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高松地方裁判所 昭和60年(ワ)34号 判決

原告

社団法人日本音楽著作権協会

被告

西川重義

【主文】

一 被告は、別紙店舗目録記載の被告の各店舗において、顧客らの第三者をして、それぞれの店内に設置した別紙複製機目録記載のカセットテープ複製機を操作させ、その店内に所在する別冊音楽テープ目録<省略>記載の音楽カセットテープ製品からその複製物を作成させ、または自ら右機器を操作して、右複製物を作成してはならない。

二 被告は原告に対し、金五五九万三六〇〇円及びこれに対する昭和六〇年二月一九日から完済に至るまで年五分の割合による金銭を支払え。

三 訴訟費用は被告の負担とする。

【事実及び理由】

原告訴訟代理人は、主文一、二、三項と同旨の判決並びに仮執行の宣言を求め、その請求の原因として、別紙「請求の原因」記載のとおり陳述した。

被告は、適式の呼出しを受けたのに、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しないから、民事訴訟法一四〇条三項により原告主張事実を自白したものとみなすべく、右事実によれば、原告の本訴請求はすべて理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき同法八九条を適用し、なお仮執行の宣言はこれを付しないこととし、主文のとおり判決する。

(菅浩行)

〔請求の原因〕

第一 原告の業務について

原告は、「著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律」(昭和一四年法律第六七号)に基ずく仲介業務の許可を受けた著作権仲介団体であり、内外の音楽著作物につき、それぞれの著作権者から著作権乃至その支分権(演奏権、録音権等)の移転を受けてこれを管理し、我が国内における放送事業者をはじめ、レコード、映画、出版、興業等の分野の各種音楽使用者に対してその使用を許諾し、著作物の適法や利用を円滑簡易ならしめると共に、右許諾に際して約定した著作物使用料を使用者から収納し、これを内外の著作権者に分配することを主たる業務としている。

第二 被告の営業活動について

一 被告は、昭和五八年一一月二〇日から、別紙店舗目録(一)記載の店舗において、同五九年三月一〇日から同目録(二)記載の店舗において、それぞれの営業活動を行つている。

二 被告の右各店舗における営業活動の態様は、いずれもその店内に別冊音楽テープ目録記載の音楽カセットテープ(以下単に音楽テープという)及びその他の音楽テープをそれぞれ陳列し、かつ請求の趣旨記載のカセットテープ複製機及び編集機等を設置して、顧客の注文に応じ、陳列された音楽テープの中から顧客の選択した音楽テープに収録された音楽著作物を、顧客が持参し、又は被告から購入した生テープに、右複製機器を使用して、録音複製し、顧客をして、その複製物を取得せしめ、右音楽テープ及び複製機器の賃貸料及び使用料名下に顧客から受領する料金をもつて営業の収益となすものである。

三 被告の右営業によつて必然的に生ずる音楽著作物の複製行為は、複製行為を被告が自ら行う場合はもとより、複製機器の操作使用が顧客によつてなされるものであるとしても、

(一) 複製行為の行われる場所が、被告の経営する店舗内であること。

(二) 複製される音楽著作物の収録された音楽テープ及び複製機器が、被告の管理下に存在するものであること。

(三) 前記(一)及び(二)の状況下における顧客による複製機器の操作使用が、被告の管理支配下において行われていると解されること。

(四) 右複製行為が、被告の収益を目的とする営業活動の要素として行われていること。

の諸点から、被告の著作物複製行為と同視すべきものである。

第三 差止請求権について

一 原告は、被告の前記各店舗に陳列されている別冊音楽テープ目録記載の音楽テープに収録されている音楽著作物(その備考欄に無信託及び消滅と記載されている著作物を除く)の著作権者から録音権の移転を受けてこれを管理し、これら著作物の録音による複製に関し、著作権法第二一条に基づく著作物複製権を専有している。

二 被告の前記複製行為による原告が管理する著作物の複製は、原告の許諾を得ない無断複製として、著作権侵害行為に該当し、原告は、著作権法第二二条に基づき、その侵害行為の差止を請求する権利を有する。

第四 損害賠償請求権について

一 被告の別紙店舗目録記載の(一)及び(二)の各店舗に陳列されている音楽テープ(別冊音楽テープ目録記載の音楽テープを含む)は、顧客の需要に対応して、新らたに補充され、又は交換されているが、原告は、これら音楽テープに収録されている音楽著作物について、そのほとんど全ての著作物の著作権者から録音権の移転を受けてこれを管理し、これら著作物の録音による複製権を専有している。

二 被告は、前記各店舗において、年中無休で前記第二、に記載した内容の営業活動を行つているが、この営業活動による原告の管理著作物が収録された音楽テープの複製本数は、(一)の店舗において、一日六〇本、(二)の店舗において、一日四〇本を下らないものと推定される。

三 被告の営業活動による前記複製行為は、原告の許諾を得ない無断複製行為として、原告の専有する著作物複製権を故意又は過失により侵害する行為に該当するものであるが、著作権法第一一四条は、著作権者がその著作権を侵害した者に対し、損害の賠償の請求をする場合、その者がその侵害行為により利益を受けているときは、その利益は、当該著作権者が受けた損害の額と推定する旨定めている。

四 被告の営業活動において、音楽テープの通常の貸出料及び複製機器の使用料は、一本当り合計金五〇〇円で、被告がこれら名目で顧客から受領する金員のうち減価償却費として二〇パーセントを控除した金員は、原告の著作権(複製権)を侵害することによつて受ける利益と解すべきで、これによつて算出される被告の一日当りの利益額は、前記(一)の店舗において、金二四、〇〇〇円、同(二)の店舗において、金一六、〇〇〇円を下らないものと推定される。

五 従つて、被告の前記各店舗における営業開始日から昭和五九年一二月一七日(仮処分執行の前日)までに、被告が原告の著作権を侵害することによつて受けた利益額は、(一)の店舗において、金九、四五六、〇〇〇円、(二)の店舗において、金四、五二八、〇〇〇円、合計金一三、九八四、〇〇〇円を下らないと推定され、右期間内に被告の著作権侵害行為によつて原告の受けた損害は、右同額と推定することができるものであるが、原告は、本訴において、被告に対し、右損害金の四〇パーセントに相当する金五、五九三、六〇〇円を損害賠償金として請求するものである。

第五 本訴請求について

よつて、原告は、被告に対し、請求の趣旨記載の判決を求めるため本訴を提起する。

店舗目録

(一) 高松市南新町一一番地の六

古山ビル二階

旧「クリスタル南新町店」現店名「コム」

(二) 香川県大川郡大内町三本松一二一七番地の一

旧「クリスタル三本松店」現店名「コム」

複製機目録

(一)設置場所 別紙店舗目録(一)の店舗内

台数 二台

機種 オタリ・DP-4050 二台

(二)設置場所 別紙店舗目録(二)の店舗内

台数 二台

機種 オタリ・DP-4050 一台

ソニー・CCP-13B 一台

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